人名録 真名或いは魔名

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人物

Outlines

 FF8に関係しそうな神話・歴史上のシンボルを掲載。実際にゲームの元ネタだったかもしれないし、全くの偶然だったかもしれないが、兎にも角にも面白く関係してくるもの。創作物の名前の由来がたった一つだと思える人やキリスト教信徒には向かないかもしれない代物。

 アナグラム及び掛詞は極めて日本語的な解釈にしてあります。海のむこうの方にはLagunaRagnarokの発音に近いことも説明がないと理解できないほどだそうですから。逆に言えばエルとアールでさえも区別しない日本人が作ったゲームという意味。

見方
元ネタ(?)英語(基本)−元ネタ(?)日本語【FF8対応日本語 FF8対応英語】

人物

Actaeon−アクタイオン【レオンハートLeonhart
アルテミスに捧げられる聖王を指す。
ギリシャ神話ではアリスタイオスとアウトノエの子供と言われる。猟犬を連れての狩りの最中、泉を見付けてそこでアルテミスの沐浴を目撃してしまい、泉の水で射られて鹿hartの姿にされ、人間の意志を持ったまま鹿として自分の猟犬に食い殺されたということになっている。
この「女神の裸身を見ることのできる男」は「死ぬ運命にある不死なる聖王」だけであり、鹿の皮と枝角を身に着けていた、聖王の風習から来ている。アルテミスに仕える巫女達(猟犬)は、アルカディアのリュカイオンで、牡鹿の皮と角を身に着けた男性を追いかけて殺した。このアルテミスの居た森は「鹿園」と呼ばれ、かつては鹿肉を食べて饗宴を催す場であった。
Aile−エル【エルオーネEllione
フランス語で羽根−Wingを意味する。
Alani−猟犬【猟犬Bloodhound
月女神、アルテミスにはまた、「女猟師」という添え名も存在していた。アルテミスの巫女達は、猟犬の仮面を被ったスキタイ人をアラン(猟犬)と呼んで狩りをした。つまり、犬とはアルテミスに仕える聖獣である。
現在、この名残はタロットカードに多く見られる。「月」のカードでは、地上で犬が死を告げている。
この犬の守る門(女陰の象徴)を通り、英雄達は死と変容への道を歩むのである。
Almah−アルマ【アルマシーAlmasy
Alma Mater(アルマ・マーテル)とは、「霊魂−母親」の意味である。
これはAl-Mahに由来する。「AL-Mah−アル・マー」とはヘブライ語で聖母マリアの添え名であり、中東地方の月女神の名である。福音書のヘブライ語版では、マリアをそのままAlmahとして表記した。
Artemis−アルテミス【アルティミシアUltimecia
アマゾン族の月女神。地域によってはラテン語名で「ディアナ」として祀られた、月と水と森(その他諸々)の「生物の母親」である。
古代に於いては多くその神像は体中乳房だらけの豊饒のシルシとして表されたが、同時にアルテミスは自らの生んだ生物を殺す女猟師であり、別名をアルタミス−Artamisと言った。アルタミスとは「屠殺者」の意味である。人間を生贄にする代わりとして、いずれアルテミスには雄牛(EL)が捧げられるようになり、アルテミスの添え名には雄牛殺戮者(タウロポロス)というものも付いた。
Artemisia−アルテミシア【アルティミシアUltimecia
月から月の涙が地上に落ち、多くそのために人が死ぬ。これによく似た話が、『ヨハネの黙示録』第八章に出てくる。

第三の天使がラッパを吹いた。すると、松明のように燃えている大きな星が、天から落ちて来て、川という川の三分の一と、その水源の上に落ちた。

この星の名は「苦よもぎ」といい、水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が死んだ。

この「ニガヨモギ」がロシア語で「チェルノブイリ」と言うことはもはや有名のようだが、この植物が「薬草の母」と呼ばれ、多くアルテミス女神に捧げられたということはあまり知られていない。
ニガヨモギの学名こそがArtemisia Absinthium。アルテミシア・アプシンジウムである。ヨモギ属(Artemisia)のアブサンである。かの「魔の酒」と呼ばれたアブサンの原料として有名だ。
無論、これは偶然ではない。アブサン(アルテミシア)を使用した(パウロ教から見た)魔女、即ちアルテミスに仕える巫女は、多く薬剤の知識を持つ者であり、その劇薬を祭祀に用いたのである。
このアルテミシア、英語ではWormwoodと言う。古英語Wermodの転訛系だが、Wermodが「霊−母」を意味することも、無論偶然ではない。月女神、アルテミスもまた三相の女神であり、「生命の母親」「切る人」「屠殺者」などと呼ばれていたということである。
Arthur−アーサー王【スコール・レオンハートSquall Leonhart
アルテミスは様々な姿の動物に喩えられるが、最も有名なものの一つに「大熊座Ursa Major」がある。を統治し、世界軸を守護する女神としての大熊である。彼女はArtioArt等の略称で熊−アーサー王の妻と言われた。ケルト人はアルテミス息子であり夫である聖王を「アーサー」と呼んだのである。
アーサー王の父親たる前任の王は「偉大なるドラゴンの頭」ユーサー・ペンドラゴンであり、母親(娘)の一相が「百合姫」エレイン(マゴーザ、モーガン)であった。魔女マーリンにライオンの住処−カールレオンCaerleonで育てられた名君アーサーは、しかし例に洩れず彼の妻であり英国の統治の象徴たる女神グィネヴィアを失うと、聖なるマナを失った。アーサーが死ぬと吟遊詩人は「marwygafen(母なる海へ還すこと)」と歌い、九相の三人の妖精女王(アーサーの母親)は彼を西方のアヴァロン(Apple Land)=エデンへ連れていった。
このアーサー王伝説は、キリスト教の聖杯伝説がケルトと結びつきイングランドに渡ったものとされているが、本来この聖杯は再生の大鍋と同じく子宮のシンボルであり、「再生」を意味していた女神のアトリビュートである。
Binary−10進法の2を知る者【レインRaine
<kow`> "There are 10 types of people in the world... those who understand binary and those who don't."
<SpaceRain> That's only 2 types of people, kow.
<SpaceRain> STUPID
一応日本語訳も。
<kow`> “この世には10種類の人間しか居ない。二進法がわかる者とわからない者だ。”
<SpaceRain> だったら2種類しか居ないじゃないか。
<SpaceRain> 馬と鹿、合わせて10叩頭か?
おまけ。

そうだよなぁ……猫は最高だ……。

オレの家にはなぁ、猫が256匹くらいいるんだよ。

でも、どうしてか分からないけど、オレ、それ以上は数えられないんだ……。

猫は数えてはならない! シュレーディンガーの過ちはそもそも筺の中に猫が存在すると思ってしまったことだ。なーんて。257匹は数えられなくても100000000匹は数えられるという理屈。
Caraway−姫茴香【カーウェイCaraway
キャラウェイは芹科の二年草で、日本名を姫茴香という。ハーブの一種で、香辛料として主に使われるのはキャラウェイシードである。
消化に効く薬草として古来より魔女が使用してきたが、同時に悪い魔女から身を守る薬草としても使用された。人や物との別離を防ぐ効果があると信じられ、特に恋人の心変わりを抑える媚薬として使用された。
Cipher−サイファー【サイファーSeifer
「虚ろ」「無」「原初」「世界の源」「ブラフマン」「ゼロ」等の意味を持つウパニシャット哲学の「クウ」という概念のサンスクリット語、シューニャSunyaという言葉がある。これがアラブに渡るとスィフルsifrと呼ばれた。
このsifrが西洋に渡ると、ラテン語でゼフィルムZephyrumと呼ばれ、これがZeroの起源となった。またsifrはラテン語でCifraとも音訳され、記号一般を意味するようになった。これが英語のCipherの起源である。
この起源のため、Cipherには「ゼロ」「始原」「存在しないもの」「無」「鍵」「記号」「暗号」等の意味を持つ。
Cramer"Twistor"−クレイマー『重力の影』【クレイマーKramer】【ディアボロスDiablos
ジョン・クレイマーによるSF大作『重力の影』。1989年。超ひも理論をモチーフとして、重力以外の力の相互作用がない影宇宙でのサスペンスヒーロー物。
シド・クレイマー学園長はスコールのSeeD初任務に於いて、重力を操る「闇の使者」ディアボロスを宿した魔法のランプを贈った。
EL−エル【エルオーネEllione
セム語に於ける「神」を表す語。イスラエル−Israelベトエル−Bethel、エロヒム−Elohim等はエルの複数形である。
時にエリアス−Eliasと言われ、これはヘブライ語で太陽を意味する。このエリアスはギリシャ語ではヘリオス−Heriosである。
フェニキアでは、エルはパンテオンの頭部にある天界の雄牛で、雌牛アシュラの夫であった。
Elaine−エレイン【レインRaine
トロイのヘレンと同じ名を持つイングランドの「ライオンの支配者たる女王百合姫。月女神の処女相である。ローマ皇帝は、このエレンとの結婚によってようやく英国を手に入れたと謡われる。エレインの命令によってようやく国民はローマの道路建設に手を貸したとされ、その道路は「万軍のエレインの道」と呼ばれた。
マグダラのマリアに付き従って彼女をアレクサンドリアに逃がしたアリマテアのヨセフの血を引くと言われ、だからこそエレインの系譜の人間こそが聖杯探求に於いて聖杯を見付け出すことが可能だと言われる。
Flower−花【レインRaine】【スコールSquall
Cloud(雲)→Rain(雨)→Squall(にわか雨)という流れがクラウド→レイン→スコールであるとの通説のようだが、この流れにはもう一つ別の流れを見出すことができる。クラKula(花蜜、赤い薔薇)→レイントLeinth百合)/エレインElaine百合)→サクラSacra桜、薔薇)という花繋がりである(ゼノサーガの母−娘もユリ−サクラ)。
聖王Sacerは供犠として血を流すが、その血は「花」と呼ばれる。大地の豊饒を促した聖王の血は赤ないし紫の花で表され、それは「経血」(女神の生産、月の血、人間の基)と同じ言葉で表現されたのである(『レビ記』15:24)。
このサクラ−SacraSacerの女性系であるが、サクラの音はアラム語でsaklaと書かれると、別の意味でCloudと結びつく。サクラは物質世界の創造主デミウルゴスの代表的呼称であるヤルダバオトの別名であり、『ユダの福音書』に登場する雲から生じた天使である。このヤルダバオト−サクラは獅子の姿をしている。
Fury−フューリー【フューリーFury
三位一体の太母神。複数形でFuriesと呼ばれることが多い。一般的にはハルピュイアの名が有名か。アレクトAlekto(休まぬ者)、ティシポネTisiphone(復讐する者)、メガイラMegaira(妬む者)の三相で表される。女神デメテルの復讐を擬人化したものがこの女神達であり、老婆の相としてベルセポネとしての名でも親しまれている(但し後世、ベルセポネは乙女の相コレと同一視され、ハデスの妻として若い娘と思われている)。またメライナ、クトニア、エリニュス等もデメテルの破壊神としての顔である。
FuriesはフリアイFuriaeとも呼ばれるが、この名はFFではお馴染みである。FF3で攻略本には載っていても実際には会えないフリアイは、ニンテンドーDS版で無事エンカウントできるとか。
Garland−ガーランド【スコールA SeeD from the Garden

ハハハハ…覚えているか。わしはガーランドだ。今から2000年後の未来…あの時に俺は殺されかけたが、4つの力が俺をタイムトリップさせ過去に蘇ったのだ!

時は巡っている…過去に飛んだわしは2000年後のために4匹のカオスを未来に送り込んだ。そして4つの力でまた未来の自分をタイムトリップさせる!

2000年後、わしの記憶は失われている。だがわしはまた過去に戻ってくる。そしておまえ達はここで死に、わしは永久に生き続けるのだ!!

FF1は、時の永遠なる循環を知っていた主人公達の物語である。主人公達が良く知っていたはずの忠実なる騎士、ガーランドは、カオスに支配された世界でセーラ姫を攫い王位を奪おうとする者になっていた。最初のボス戦としてガーランドを倒した主人公達は、2000年前のラストダンジョンで、すべてを仕組んだラスボス・ガーランドと幾度目かの再会をする。主人公達は時の円環を生み出したガーランドを葬り、2000年後の現在を正しい姿に――ガーランドが主人公達の良く知るガーランドである世界に戻した。
この話は、物語的にFF8の裏側である。ループを作り出した者が主人公であるFF8、ループを作り出した者がラスボスであるFF1。過去を変えられないFF8、過去を変えることのできたFF1。最初の前からループを知りそれを壊した主人公と、ループを作り出してしまったことを最後に知った主人公。
この時の循環を作り出したスコールとガーランドは、共に「」であり「庭」である。ガーランド、それは「花輪」ないし「庭師」の意味である。
Grieve−嘆かせる者【グリーヴァGriever
悲嘆させる者。害を為す者。字義的にはhurtと同様(>>スコール)。

━━ v. 悲しませる[しむ] ((about, for, over)); 悩ます[む] ((about, at, over)).

Gryphon−グリフォン【Sleeping Lion Heart】【グリーヴァGriever
グリフォンないしグリフィン(Griffin、Gryphin、Griffan)は、ギリシャ語のグリュプス−Gryps或いはラテン語のグリュプス−Gryphusが転訛した、英語或いはフランス語。
一説によれば起源は紀元前3500年前のメソポタミアに遡り、当初は獅子頭に前足がライオン、後ろ足が鷲の姿が一般的だったようである。しかし13世紀になると、メソポタミア初期王朝以前にしか見られなかった珍しいタイプである、前足が鷲、後ろ足がライオンである姿に、何故か一変する。
グリフォンはその後、ヨーロッパで貴族や都市の象徴として愛好され、ダンテやボッティチェルリの芸術を通して一般にも親しまれるようになる。
このグリフォンのモチーフはオックスフォードのトリニティ・カレッジの校章としても用いられたが、かのオックスフォード大学の数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドジスン(ルイス・キャロル)が記した言葉遊び童話『不思議の国のアリス』に於いては、グリフォンは「眠れる獅子」として登場するのである(FF9は多くアリスからモチーフを得ている)。
また、旧約聖書に登場するケルビムと同一視された場合には、グリフォンはエデンの園を守る守護聖獣とされる。14世紀頃には、地の王としてのライオンと空の王としての鷲の合成獣であるグリフォンは、教会やキリストのトーテムでもあった。
グリーヴァに於いては、スコールの象徴たるライオンと、リノアの象徴たる翼の合成ということになる。
Haty−ハティ【ハーティリーHeartilly
古ノルド語に於ける「憎む者」。フェンリルの子供でスコールの兄弟。月を呑み込んでラグナロクの到来を告げる。常に月を追いかけていた。
Heart−ハート【レオンハートLeonhart】【ハーティリーHeartilly】【バラムBalamb
ヘブライ語になったときに「父親」を意味するようになったが、元来「母親から与えられた」ものを意味する、エジプトのアブ−心臓・霊魂は女神の象徴であり、真理を擬人化したマートに捧げられる供物であった。アブはマートの天秤に置かれて重さを量られ、真実の羽根と釣り合いが取れているかどうかを吟味された。
東洋に於いては心臓の拍動が重要な概念であり、それは踊りと同一化された。タントラの賢者は宇宙の中心を「心臓の内部(チダムバラムChidambaram)に置き、イエスは踊る者は宇宙と一体であると言った。キリスト教は初期にこの女神に捧げる踊りを禁止したが、結局制圧しきれずに「聖心」という概念で取り込まざるを得なかった。この聖心は今でも女性的な意味を包含しており、薔薇、泉、竈などと関連付けられている。
Hurt−嘆かせる者【レオンハートLeonhart
傷付ける者。害を為す者。字義的にはグリーヴァと同様(>>スコール)。

━━ n., v. (hurt) 傷(つける), けが(をさせる); 痛む; 苦痛(を与える); 損傷 ((to)); 損害[被害]を与える; 妨げる; (…の)感情を傷つける, (感情などを)害する.

Hyperion−ハイペリオン【ハイペリオンHyperion
「高きを往く者」という意味の観察者。ウラヌスとガイアの息子で、妹であり妻であるテイアとの間にヘリオス(太陽)、セレネ(月)、エオス(曙)をもうける。子供達は当然の如く親と同一視されたので、ハイペリオンは太陽と月と暁の神とも呼ばれる。
アポロンの前身とされるが、一般にただ太陽神として認知される際には、息子であるヘリオスと同一化されることが多い。正しくはテイアと同様に光明神であろうと考えられる。
Idea−イデア【イデアEdea
Ideaという言葉が、考え、アイディアなどを今以て示すことは言うべくもないが、語源としては「霊感(in-spiration)」に端を発する。
この単語、字義としては「女神の精気を吸い込む」という意味である。この「女神の精気」こそI-deaである。
この「霊感」の源としての9体の女神、ムーサもまた本来は三相の女神であり、この第一相をムネモシュネ(Mnemosyne)と言い、「記憶」を意味する。
K−Magick【魔法Magic
20世紀最大の魔術師と言われたアレイスター・クロウリーが魔法−Magicに「K」を追加し、「Magick」と表記したことは有名である(Wikipedia:近代西洋儀式魔術)。
「K」は英語(等)で11番目の文字に当たり、クロウリーはこれを「セフィロトの10を越える1」として、また古代エジプトの魔力の源の象徴としての「K(歯のある膣kteis)」として、奇術等から魔術を切り離すために「Magic」に追加したのである。
さて、アルティミシア第一形態がCの換わりにKを使うことは英語版FF8をプレイした人には有名な話である。英語圏ではこのため一部で彼女の発音は莫迦にされるようであるが、この「K」こそが彼女が正当な魔法使いであることの証かもしれない。

...SeeD...

SeeD......SeeD......

SeeD, SeeD, SeeD!

Kurse all SeeDs.

Swarming like lokusts akross generations. You disgust me.

The world was on the brink of that ever-elusive 'time kompression'.

Insolent fools!

Your vain krusade ends here, SeeDs.

The price for your meddling is death beyond death.

I shall send you to a dimension beyond your imagining.

There, I will reign, and you will be my slaves for eternity. HAHAHAHAHAHAHAHA.

そしてアルティミシア第四形態では、既にして「K」は消え去っている。

I am Ultimecia.

Time shall compress...

...All existence denied.

この差異は日本語版では一人称の違いとして、第一形態が「私」、第四形態が「わたし」と区別されている(メモリアルアルバムは誤植)。

なぜ私の自由にさせない!?

わたしはアルティミシア

Laguna−ラグーン【ラグナLaguna
Loireが「河」ならばLagunaは「海」である。Ragnaでは水に関係しないが、Lagunaならばスペイン語で遠浅の海、或いはフランス語ならばLaguneで、この綴りの転訛によってラグナロクは水と結びつく。
これにはFF5との関連に於いて意味がある。タイダルウェイブである。FF5に於いて、最強の剣ラグナロクを宝箱の中で守っていた最強のモンスター、神竜は真っ先にタイダルウェイブ(大津波)を起こし、何も準備せずに無邪気に宝箱を開けるとまず全滅を喰らう。水は神竜の武器なのである。或いはFF8に於いては、ラグナは水(レイン、スコール)と結びつくこととなる。
La Reine−女王【レイン・レウァールRaine Loire
Le Roi(王)に対応する、フランス語の「女王」を意味する語。英語のThe Lord(王)−The Lady(女王)の関係に同じ。

エルは、ちっちゃくても、立派な『れでぃ〜』だ。

Leinth−レイント【レインRaine
エルトリアの女神で、バビロニアの太母神リリス(或いはアシュタレト)と同一視される。月にある冥界の門は女陰=百合(蓮)であり、それを擬人化したレイントには、だから顔がなかった。
リリスは太母神らしいその奔放な多産性により、キリスト教の正典からは外されてしまったが、彼女の象徴たる百合は聖母マリアのアトリビュートとして今も残っている。
Leo−ライオン【レオンハートLeonhart
ライオンは太陽神のシンボルとされることが多いが、それは良くある後世の権力簒奪の象徴であり、古代では女神の力のシンボルとして用いられることの多いモチーフである。これはタロットカードの「8-力」にもその名残として残っており、女性とライオンが描かれている。
これに象徴されるように、女神は多くライオンに跨っており、「緋色の女」もまた、ライオンに乗っていた。それは「時」の象徴たる「昨日と今日のライオン」であり、パウロ教にとっては彼女は廃すべき異教の創造神だったためであるが、その女神は聖母マリアの原型でもある太母神である。
Leo−獅子宮【スコールSquall
噴水のモチーフとして口から水を噴出する、この動物がライオンなのには意味がある。
古代エジプトに於いて、7〜8月にはナイル川が氾濫した。この氾濫は決して悪いだけのイメージではなく、「ナイルの賜」と呼ばれ、氾濫によって肥沃な黒土が田畑に注ぎ込まれていたのである。この7〜8月は、王道十二宮に於いて獅子宮が司っており、ここから獅子と水が結びつけられて、雨水の排水溝、転じて噴水の獅子頭は生まれたのである。
この氾濫は、暁にシリウスが姿を見せるヘリアカル・ライジングと共に起きた。このシリウスを擁する星座がオオイヌ座である。
Le Roi Ragnarok−竜王【ラグナ・レウァールLaguna Loire
『ノストラダムスの予言書』に於ける「Noir(黒)」が「Roi(王)」のアナグラムであることは有名だが、アナグラムと仮定するならば、フランス語のLoireLe RoiThe KingないしThe President)である。つまりラグナ・レウァールは単なる「大統領ラグナ」の意である。或いはRagnaもまた単に「王(神)」を意味することから、ラグナ・レウァールとは人の名前ではなく単なる添え名である可能性もある。このLe Roiバスカリューンのアナグラムとも一致する。
またLoireはフランスで最も長い河の名称であり、単に「河」を意味するLigaの転訛であるが、河は世界中で竜と同義である。FF8に於いて竜は多く竜機ラグナロク−Ragnarokであり、つまりLoireはLagunaの名を引き出す鍵である。この竜機の名は恐らく他と同様FF5の神竜(デザインは野村哲也氏)に由来すると思われるが、FF5に於いては黒かった竜は、FF8に於いては赤である。

また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、火のように赤い大きな竜である。これには七つの頭と十本の角があって、その頭に七つの冠をかぶっていた。

Lily and Rose−三弁の百合と五弁の薔薇【レインRaine】【スコールSquall
百合も薔薇も、共に女陰のシンボルであり、百合は女神の処女相を、薔薇は女神の母親の相を示す。
百合−Lilyはバビロニアの太母神リリスのアトリビュートで、本来はこの女神の生殖の魔力を示すLilu(蓮)である。キリスト教では、この異教の処女母のシンボルを取り入れ、聖母マリアはガブリエルの持っていた百合を通って耳から神の精液を受け取り、受胎したという。この前身は聖処女ユノの百合による単体生殖の神話にあり、このユノは三弁の百合Fleur-de-lisをアトリビュートとする三相一体の女神ウニUni(宇宙−Universe)の原型ヨーニ(女陰)から派生したものである。
薔薇はやはり聖母マリア、ないし神殿マグダラのマリアのアトリビュートであり、元は「ヴィーナスの花」である。ヴィーナスに仕える聖娼の印でもある薔薇Roseは、Erosのアナグラムであり、ヴィーナスの性の秘儀に欠かせない要素であったため、薔薇は今でもUnder the RoseSub Rosa)の諺に残るように、「秘密」の意である。
この薔薇は現在良く見られる高芯八重のモダン・ローズでは実はあまり意味がない。五弁のオールド・ローズにこそ意味がある。今日では魔女や悪魔の印とされる五芒星は元々ヴィーナスの金星の印(イシュタルの星)であり、薔薇科の植物(林檎、桜)が五芒星を抱えることが重要なのだから。これは結実、再生、永遠の生の象徴であった。エリクサーもこれに由来し、意味は「薔薇の花に溜まった露の雫」、即ち女神の中で自ら再生する聖王の精液である。即ち薔薇は、神の力を蓄える(血筋を伝える)器−聖杯を意味する。
この薔薇はまた、Ragnaと同様「正しい方向性」「人を導くもの」といった意味があり、現在でも子午線はローズ・ラインであり、羅針盤はコンパス・ローズである。この羅針盤、現在は東西南北を指し示しているが、元来は「風の薔薇ウィンド・ローズ」と呼ばれ、32の風向きを示していた(>>ゼファー >>ヴィンドヘイム >>渾天儀)。
Lion Hearted−獅子心王【ライオンハートLion Heart
12世紀の騎士道物語の象徴的存在として挙げられるリチャード一世の二つ名が「獅子心王(Lion hearted)」である。統治を殆どまともに行わなかったにもかかわらず、イングランドでは騎士の中の騎士として人気は高い。
最後は肩を射抜かれて亡くなった。また彼の剣にはイングランドの象徴であるライオンが彫刻されていた。
Lion that is from the tribe of Judah−ユダの獅子【レオンハートLeonhart
『ヨハネの黙示録』に出てくる「獅子」と言えばナザレのイエス、つまりキリストのことである。ユダ族の獅子はダビデの蘖とも呼ばれ、ダビデ王の生まれ変わりとされた。つまり当然の如くイエス・キリストもまた、女神に捧げられた彼女の夫であり息子である聖王だったのである。

すると、長老の一人が私に言った。「泣くな。見よ。ユダ族から出た獅子、ダビデのひこばえが勝利を得たので、七つの封印を開いて、その巻物を開くことができる」

Messiah−メシア【アルティミシアUltimecia】【スコールSquall
最後の審判の直前に地上に現れるとされる「油を塗られた者(キリスト)」たる聖王Sacerのペルシア語の添え名。ペルシアに於いては予言者エリア(FF3に於ける水の巫女)と同一視された。
Noah−ノア【リノアRinoa】【アルティミシアUltimecia
原初の深淵であるエジプトの女神マー−ヌーないしマー−ヌンから生まれた「魚(キリスト教の象徴)」を意味するヘブライ語。マーは宇宙の魚として擬人化された「混沌の子宮」であり、ノアは新しい生命へと再生する生命の胚芽であった。これはナイルの氾濫(破壊と再生の象徴)に由来するため、ノアは新たなる創造としての洪水と関連付けられた。
この神を体現する、インド、シュメール、バビロニアの「洪水の英雄」達もまた、新たなる創造のために生物のつがいを方舟=月に乗せ、洪水の中に乗り出した。この英雄達の中で最も有名な聖書に出てくるノア、彼が色素欠乏症であったことは有名である。

彼の身体は雪のように白く、またばらの花のように赤く、頭髪、頭のてっぺんの髪は羊毛のように白く、眼は美しく

聖書の洪水の記述は、基本的に世界の終末神話を基にした、神に忠実なる者が新世界創造時に生き残る物語である。しかしグノーシス派の資料に残るように、かつて『創造の十二書』によると、(太母神による再生の洪水ではなく)太母神に逆らったが、世界を滅ぼすために洪水を起こした、というものが聖書の原型らしい。創造物を壊されることに怒った女神エスタは、逆らった神を雷(神鳴)で罰し、天に魔法の虹(契約の印の原型)を架けて、神が地上の祭壇に近付くことを禁止した。この女神はのちにバビロニアの大娼婦とされた、例のキリスト教に貶められた太母神である。
この神話はギリシアに於いては忠告者たる女神テミス不死人デウカリオンの方舟神話として伝わっている。
Ragna−世界を統べる者【ラグナLaguna
古ノルド語に於ける「世界を統べる者」、或いは「助言を与える者」の意。ラグナロクはこのラグナにrök−運命を付け加えた語。
字義的にはLe Roi或いはVascaroonと同様。
Ragnarok−神々の黄昏【ラグナロクRagnarok
世界の終末−Doomsdayが存在するという考えは、世界中の至る所にあり、起源は古代ヒンズー教にあるとされる。万物は女神によって生み出され、四季の終わり(カリ・ユガ)に女神は破壊者ともなって世界を滅ぼし、新たな世界を創造するといったものである。それは男が精神的に堕落するためであり、神々は男性原理を剥き出しにして殺し合い、世界は火と洪水に包まれる。そのため、太母神は万物を時−Aeonと共に呑み込み、創造以前の混沌の状態に戻すのである。この精神的堕落を免れる少数の男は「自分の母親達の足許の蓮(百合)と自分の妻達に捧げられる者」−聖王であった。
『エッダ』に於けるラグナロクRagnarök−世界を統べる者の運命は、この最後の審判の北欧版であり、太陽スコールに呑み込まれるのを契機としてフィンブルヴェトル(大いなる冬)が訪れるとされる。また13世紀頃に記された『新エッダ』に於いてはラグナレックRagnarøkkr−偉大なる神々の暗闇と称され、これを神々の黄昏−Götterdämmerungと詩的に訳したのが作曲家のワーグナーであり、日本ではこちらの訳のほうが良く知られている。
このラグナロクののち、ホッドミーミル−貯えの水をもたらす者に守られて生き延びた人間が子孫を増やし、生き延びた神々は天にヴィンドヘイムを建設したと言われる。
Revelation−啓示【はじまりの部屋the Commencement room
⇔黙示。
revelationのラテン語に当たるrevelatioは本来、ヴェール−velumを後ろに引くことを意味した。結婚式の白いヴェールが本来処女しか纏ってはいけなかったように、ヴェールとは処女膜の比喩である。
しかし聖母マリアの処女懐妊が有名なように、処女とは未通女のことではなく、三位一体の女神の処女相を示す添え名であった。
神殿のヴェールのむこうに居る処女女神はつまり、王に太母の恩恵を分け与える神殿娼婦であった。人間は死後そのヴェールを引き上げて女神の顔を正面から見ることが許されたと言うが、しかし「死すべき運命の者は未だ誰一人として私を蔽うヴェールを上げることはできなかった」との通り、女神の虹のヴェールを上げることができたのはつまり、捧げられ愛死した聖王だったのである。
ヴェールを上げてその顔を見たときには既に、それは生贄である。
Rose Line−ローズライン【薔薇の脈】
子午線を意味する言葉。かつて経度0度の「真の子午線」をフランスイギリスのどちらにするかで世界は割れた。
或いはイエスの血脈を意味する語。即ちユダ族の王たるイエスと、ベニヤミン族の女王たるマグダラのマリアの、二筋の王の血筋を意味する。FFシリーズの所謂「王女」ないし「ヒロイン」には、このローズラインを連想させる名が付く慣例だったようである(過去形)。
コーネリア王女・セーラSara(ファイナルファンタジー)
SaraないしSarahはイエスとマリアの子の名。或いは単に「女王」「王女」「王妃」を意味する語。
レオンハルトLeonhartの妹マリアMaria(ファイナルファンタジーII)
聖母マリアないしマグダラのマリア。
サスーン王女サラ・アルテニーSara Altney(ファイナルファンタジーIII)
ファイナルファンタジー、セーラの項参照。
ローザ・ファレルRosa Farrell(ファイナルファンタジーIV)
Rosaはラテン語のRose
タイクーン王女レナ・シャルロット・タイクーンLenna Charlotte Tycoon(ファイナルファンタジーV)
Lenna/Lenaは「マグダラ」を意味するMagdalenaの略称。
ティナ・ブランフォードTina Branford(ファイナルファンタジーVI)
Tinaはキリストを語源とするChristinaの略称。
ティファ・ロックハートTifa Lockhart(ファイナルファンタジーVII)
正しくは不明だが、ティファTifaの名前の由来がギリシア語のTheophania/Tiffanyにあるのならば、意味は「顕現祭(the manifestation of God)」。或いはキリスト生誕を告げたマギの母の名。
レインRaine/スコールSquall(ファイナルファンタジーVIII)
Flowerの項参照。ここでも慣例反転。
アレクサンドリア王女ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世/本名セーラSarah(ファイナルファンタジーIX)
ファイナルファンタジー、セーラの項参照。
おまけ。フリーメイソンの一員であったディズニー自体がそもそもイエスの血脈を様々な物語に隠していると思われるが、キングダムハーツのヒロイン=プリンセスたるカイリもまた、名前にも姿にもローズラインを宿している。イエスとマリアの子はサラ・カーリであり、サラは約束のお守り(サラサ貝の五芒星)に、カーリは海→カイリに、そして赤毛はマグダラのマリアの象徴である。
Sacer−サケル【スコールSquall】【セクレトSacred
ラテン語のSacerは「極めて神聖にして穢れた」或いは「特別な運命のため選ばれた神の初子」であり、その正体は女神に捧げられ愛死した聖王である。この語は派生して、英語のSacred(神聖な)やSacrifice(供犠)となった今でもその意味は失われてはいない。
「神聖」にして「穢れ」ているという二律背反する性質から「触れてはならないもの」をも意味し、神聖な目的のために隔離された。即ち霊的な魔力−manaを持っているためにタブーとされ、一般の人々からは遠ざけられたのである(『サムエル記下』6:3)。
太母神のため取り置かれた神聖にして穢れし生贄は、死を宣告され「呪われ」た姿で真の王(部族の最初の犠牲者である王)として扱われた。そして死してのちは天界の父と同一とされ、大地の豊饒の再生産に従事したのである。
sacer / sacra / sacrum
  1. 聖別せらるる者。供犠なる者。
  2. 不死なる者。永遠なる者。
  3. 魔法をかけられし者。呪われし者。
Secret−スクレ【スコールSquall
フランス語に於ける「秘密」。
  • Sidh−シード【シードSeeD
  • Skoll−スコール【スコールSquall
    古ノルド語に於ける「嘲る者」。ハティの兄弟、或いは親であるフェンリルそのもの。太陽を呑み込んでラグナロクの到来を告げる。いつも太陽の後を追いかけており、太陽が天を急ぐのは、スコールから逃れて走っているためとされる。
    『巫女の予言』に於いてはトロルと同一視される。このトロルは民間伝承に於いてはアダムとリリス(百合)の子供であり、取り替え子を良く行う。が訪れた際、リリスは子供達を紹介したが、そのうちの何人かをリリスは隠した。その嘘をは見破り、子供の姿を隠したのがトロルの始まりとされる。
    Sleeping Lion−眠れる獅子【Sleeping Lion Heart
    FF6は魔法を習得する際、モンスターと戦って得られる魔法経験値のようなものが存在していた。魔法習得値という。通常の敵は1ポイント程度である。ボスでさえ、3、4ポイントであることがザラだ。
    さて、ここに小三角島という島がある。三角という形、或いは3という数字は、魔女(女神)にとって意味のある数字である。何故なら太母神は、多く三相の姿を有しているからである蛇−女神−巫女。或いは乙女−母親−老婆、即ち創造者−維持者−破壊者。生−死−再生、過去−現在−未来、今居まし者−昔居まし者−やがて来たりし者。つまり究極の真理であり、全一性である運命の三女神の象徴としての数字である魔法を使う者としての魔導士が、三角形の大地の上に住むことは何ら不思議ではない。
    さて、若干話がずれた。ここに、一匹の特殊な敵が出現する。通常のモンスターの魔法習得値は既にして述べた。ならばこの特殊性がわかるであろう。その敵は、魔法習得値10という驚異的な値を提供する(通常経験値はない)。
    そのモンスターの名前こそ、「眠れる獅子」という。またスコールのカードを変化させるとスリースターズ×3である。
    Theia−テイア【イデアEdea
    別名エウリュパエッサ−Euryphaessaないしアイトラ−Aithra。意味は「神聖」或いは「晴天」等、「遠くまで光り輝く者」の意味。ガイアとウラヌスの間に生まれた光の神。兄であり夫であるハイペリオンとの間にヘリオス(太陽)、セレネ(月)、エオス(曙)を生む。
    Themis−テミス【テム】【石の家Stone House】【アルティミシアUltimecia
    エジプトに於ける、万物を生み出した豊饒の深淵の霊「テム−Temu/Tehom」が、古代ギリシア以前にカルデア語のThamte()またはバビロニアのTiamatを語源として、テミスとなった。このテミスの処女相こそがアルテミス(Ar-Themis)である。テミスという名は数値で表すと「月」と同じであった。
    彼女の子供(巫女)達はテミステ(神託)と呼ばれ、デルファイ−Delphi(子宮)の神殿で、いずれアポロンに取って代わられるまで、海と月の神託を下し続けたのである。
    アマゾン族は、その聖なる島テミスキュラ(神聖なるテミス)に於いて、黒い石(ラピス・ニゲル)をテミスとして崇拝した。この習慣は遠くアイスランドにまで伝播し、「予言の母」「繁栄の母」なる石が崇拝された。このように多くの女神には自らを象徴する石があり(魔石、召還石)、その遙拝所はバエティル、ベトエル等の「神の家」という名で呼ばれたのである。
    Tir na nog−ティル・ナ・ノーグ【ノーグNORG】【シュミ族の村Shumi Village
    「常若の国」を意味するアイルランドの異界。アイルランドにドルイド魔術をもたらしたダーナ神族が、ミレシウス族との戦いに敗れ逃れた地下王国の一つ。
    ここでは一年中春であり、死した者も翌日には蘇り、年老いた者は若返り、永遠に年を取らないと言われる妖精の楽園である。
    Vas Corona−冠の器【バスカリューンVascaroon
    ハインの半身の力を狙った黒耳王ゼバルガが相談した賢者バスカリューンの綴りはVascaroonである。Vasはラテン語で「器」を意味する。つまりラテン語のアナグラムだと仮定するならば、caroonはcoronaとなり、これは「冠」「王」「王権」といった意味である。
    Zephyr−ゼファー【ゼファー】
    ギリシアの風の精。別名Zephyrus
    北風の神ボレアスが雄馬を孕ますと考えられていたように、ゼファーもまた、人間の女性や動物の雌を受胎させる力があった。ギリシアの男根神は「蛇の尾を持つ風」として表現され、子宮に気、息、風を吹き込む者であった。
    この、子宮に風を送り込んだ者が生まれた子の父親であるという考え方はギリシア特有のものでは決してなく、父権制初期の諸宗教に共通していた。それらによると、男の大霊(Over Soul)は単に「気」であり「息」であり「風」であった。
    Soulのドイツ語に当たるSeeleが女性名詞であるように、「霊魂」の古典語はほぼ例外なく女性名詞である。本来すべての母親は血、心臓、名前、肉体、心、影といった「霊魂」を子供に与えたが、それと対立する形で父権制度の父親達は子供に与える「息」を強調してきた。この息−Atmanは大気−Atmosと同義であるが、キリスト教はこの大気=霊魂という父権社会の広言をほぼそのまま受け入れ、今日に至る。

    地名その他

    Androsphinges−アンドロスフィンクス【スフィンクス/アンドロSphinxaur/Sphinxara
    ゲームでは仮面を着けているとスフィンクス、仮面を取るとアンドロという、それぞれパラメータも違うモンスターの設定であったが、元々は「アンドロスフィンクス」という、ヘロドトスの名付けたスフィンクスの一形態の正式名称。
    エジプトで生まれたスフィンクスはファラオを模したものであり、エジプト語の「生ける像(シェセプ・アンク)」を語源として、エジプト語のSphinxが生まれたが、これは女性名詞だったため、ヘロドトスはスフィンクスの分類化と共に、自身の国の合成獣をして、名称をアンドロスフィンクスと男性名詞化した。
    現在では、人間の頭部を持つものをアンドロスフィンクス、隼の頭を持つものをヒエラコスフィンクス、羊の頭を持つものをクリオスフィンクスと分類するのが一般的なようである。
    Babalon−緋色の女【赤い服XERAMPELINAE】【猫Cat
    聖書での堕落したイメージとしてのバビロンと区別する意味で、主にアレイスター・クロウリーが用いた「緋色の女」を表す言葉ベイバロン。綴りを「BABILON(数価165)」から「BABALON(数価156)」にすることで、シオンやピラミッド都市、混沌等にも関連付けられている。
    太陽の力を受け入れる「門」であり、「血の星」であり、「宇宙空間の左目と太陽の右目を持つ猫」。「獣」を表す一筆書きの6芒星形に対する5弁の薔薇
    Balaam−バラム【バラムBalamb
    当時教会が禁止していた「占い」を生業としていた占い師。聖書では「不義のもうけを好み、常軌を逸した行いをする人物」として描かれているが、そもそも占いを行っていた時点で、彼はパウロ教的キリスト教徒ではないのである。バラムはイスラエル人ですらなかった。彼の言動をパウロ教の規範で判断することは間違いである。
    彼の行っていた異教の占い、即ち魔術は古き太母神に連なる知識であり、つまりバラムは自身が魔女であったと思われる。イエス・キリストもまた、異教の魔術に通じた薬師であり、魔女であった。
    Esther−エスタ【エスタEsthar
    女神イシュタル(Ishtar)のヘブライ語であり、星を意味する。聖書では天后に相当するアシュタレト、アテナ、アシュラ、アフロディテ、マリ等の名で登場する。このアシュラとは白き月の雄牛神ELの妻である。他にもアッカドの資料によれば、彼女はキュベレ、コレ(デメテル)とも同一である。
    『ヨハネの黙示録』によると「大いなるバビロン」または「淫婦どもの母」「地上の忌まわしき者達の母」とされる豊かなる大娼婦である。パウロ教的な視点を外れて見れば、「女神の中の女神」「天と地の女王」「万軍を率いる者」「地上の法律」「天界の掟」「正義の判事」「罪を赦す者」「世界の光」、これらが彼女の内包する称号である。
    彼女はまた「赤と紫の衣を纏った」「緋色の女」である(ギルガメッシュが赤い衣を纏っているのもこのため)。この衣は当然のようにSacerたるイエスの纏った衣でもあった。旧約聖書に出てくる神への賛美の言葉も、多くイシュタルに対するバビロニア人の祈りの言葉から流用されている。
    彼女の愛人ギルガメッシュによれば、彼女は太母神の例に洩れず残虐であり、彼女の夫達は例外なく生贄とされ、自らの血(Purple)で大地の豊饒の再生産に従事していた。良くイシュタルは嫉妬と恫喝の場面に引き出されるが、これは彼女が次代の王を黄泉還らせるための儀式の一環であり、彼女は冥界の7つの門の門番に対して脅迫をし、三日三晩の冥界下りの後に地上に戻り、黄泉還らせた夫=息子と交合の儀式を行い、それを新年としなければならなかったのである。
    エスタシティ(Esthar City)が、アデルの封印装置と同じ女神の羽根を街の中に背負っていることは、ゲーム中に確認できる。
    Eden−エデン【エデンEden
    ペルシア語のヘデン−Hedenに基づいた、ヘブライ語の「歓喜の園」。太陽の沈む位置にある楽園。
    リリスとアベルが智慧の実を戴いた場所。
    太古にはただ「庭−Garden」を意味した。
    Focalor−フォカロル【フォカロルFastitocalon
    ソロモン王が封じたとされる72柱のうちの一柱。フォーカロル、フォルカロルとも呼ばれる。
    グリフォンの背に乗った男、ないしグリフォンの翼を持った人間として召還される。と水(海)を司り、人間を様々なもの(女や賭博や酒)に溺れさせることができるとされる。
    Glasyalabolas−グラシャラボラス【グラシャラボラスDoomtrain
    ソロモン王が封じたとされる72柱のうちの一柱。カールクリノラース、カシモラル、グラキア・ラボラス等とも呼ばれる。
    グリフォンの翼を持ったの姿をしており、屠殺を司る。また科学知識を人間に授け、人間を不可視の状態(バニシュ)にするとも言われる。
    Labyrinth−迷路【名もなき王の墓The Tomb of the Unknown King
    ガイア、レア、デメテル、アルテミス等の名で呼ばれたアマゾン族の月女神が持物として手にしていた両刃の斧ラビュルス−Labrysを語源として、迷路−ラビュリントスは「両刃の斧の家」を意味する。
    ラビュルスはクレタ島の月女神に雄牛を捧げる儀式に用いられた。このクレタの月女神こそが俗に言うアリアドネであり、「迷宮の女主人」である。彼女の夫(父)はミノスであるが、これは月−王を意味する添え名であり、月の雄牛ミノタウルスの中に宿ってアリアドネに捧げられる運命の聖王であった。聖王は迷路を通ることで死と再生の旅を果たしたのである。
    ギリシア神話は彼女を貶め、ミノタウルスと迷宮によって閉じ込められたただの人間の娘としたが、彼女がテセウスののちデュオリュソス(キリストの原型)と結婚したことからも、彼女が豊饒の太母神であったことが知れる。
    Minotauros−ミノタウロス【ミノタウロスMinotaur
    アリアドネの夫であり息子であるミノスは元来王の名そのものではなく、単なる「月の生物」という意味であった。そのミノスが生贄としてアリアドネに捧げられ、迷宮で定期的に再生された息子としての相がミノタウルス−月の雄牛である。
    Public House−神殿【パブThe Pub
    政、祭祀等を行う開かれた場。
    Sator−種蒔く人【シードSeeD
    SATOR
    AREPO
    TENET
    OPERA
    ROTAS
    四角連語Word Squareの魔法陣。死をもたらすため、永遠をもたらすため、すべての秘密を知るために用いられた魔法陣。或いは魔女を発見するために用いられた魔法陣。如何なる魔女も、この魔法陣の敷かれた部屋には立ち入ることができないと言う。
    解釈は幾通りもあり、結論は出ていない。
    • 神(sator)は創造(rotas)と人間の手仕事(opera)と 大地の産物(arepo)とを御覧になる。
    • ゆっくりと動く(arepo)創造者(sator)が、彼の創ったものを回し(rotas)続ける(tenet)。
    • 種まく人(sator)のArepo(人名)が働いて(opera)車輪(rotas)を支えている(tenet)。
    • 種蒔く人(sator)、Arepo(人名)が自らの仕事(opera)のための車(rotas)を遅らせる(tenet)。
    • 種蒔き(sator)Arepo(人名)は馬鋤き(rotas)を曳いて仕事(opera)をする(tenet)。
    • 種蒔く人(sator)が、耕し(arepo)、仕事(opera)が、車(rotas)がよく回っている(tenet)。
    Sator(サトール)」自体は「種蒔く人」「神」「悪魔」「クリスマス」の意。
    Scarlet Woman−緋色の女【赤い服XERAMPELINAE
    『ヨハネの黙示録』に登場するバビロニアの大娼婦、女神エスタ、或いは巫女。赤と紫の衣を纏い、紅き獣の背に乗る。
    この紫−Purpleとは、ラテン語の「極めて神聖にして穢れし」Sacer、或いは「タブー」たるPurpureusに由来する。当時の紫とは、血の色たる暗い緋色(ダークワインレッド)であり、赤と共に「王の血」を意味していた。
    パウロ教はエスタを貶めたが、しかし神殿マグダラのマリアに油を塗られしキリストたるイエスもまた当然のことながら、同じ血の「王の紫」を纏っていたのである(『マルコによる福音書』15:20では紫、『マタイによる福音書』27:28では赤)。
    アルティミシア城の12枚の絵画は黙示録にモチーフを取っていると思われるが、アポカリプスを発するアルティミシアが緋色の衣を纏い、「XERAMPELINAERed Clothes)」が掲げられていることは偶然ではないだろう。それはジュリアとエデンの纏っていた服の色でもある。
    Sekhmet−セクメト【セクレトSacred
    FF5でミノタウロスの弟として登場した非ボスモンスター。セクメトは本来ライオンの頭を持ったエジプトの女神であり、FF5でセクメトが出現する場所も彼女に因んでピラミッドである。
    しかしその後のFF8、FFTFF GBA版では、この兄弟はミノタウロスとセクの名で登場することとなる。変更の理由は不明。
    Sidh−シード【シードSeeD
    アイルランドのの地下にあるとされる異界で、妖精と呼ばれたダーナ神族の住処。
    ダーナ神族はアイルランドに降り立つとドルイドの魔術を広めた遊牧民族だったが、ミレシウス族との戦いに敗れ、ティル・ナ・ノーグやシードに移住することとなった。やがてダーナ神族は衰退し、妖精と呼ばれる存在となる。
    Stella Maris−青と金【セーブポイントSave Point
    」の意。イシュタル、イシス、アフロディーテ、ヴィーナス、デメテル、マリ・アンナ、聖母マリアの添え名。この石がラピス・ラズリであり、時代によってはラピス・ラズリから生まれるマドンナ・ブルーは、イエスとマリアにしか使用を許されなかった。青は宇宙を、金は金星を意味する。或いは再生を意味する母なる海の青ないし不死の聖王の青い血に対して、金は永遠を意味する金属である。
    FF8のセーブポイントは、青と金とバラム・ガーデンの原動力に酷似した輪の組み合わせでできた渾天儀の姿をしている。これは魔女記念館の封印装置も同様と思われる。
    Vindheimr−ヴィンドヘイム【ウィンヒルWinhill
    『エッダ』に記された北欧に於ける世界の終末の日−Ragnarokののち、原初の混沌に戻った世界で、オーディンの兄弟が天に作った神の国の名。「風の国」の意。
    Weaker Vessel−弱き器【魔女の力と器Sorceress Power & Embodiment
    魔女の力は、はるかないにしえの時よりその「器」となる者に代々受け継がれてきた。 ここでいう「器」とは、血のつながりの有無にかかわらず、魔女の巨大な力をやどすためのキャパシティと相性をかねそなえた者のことをさす。

    魔女になりうるかどうかの適性は、力を宿すためのキャパシティと相性によって決定され、身体から切り離された純粋な力のみが、つぎの魔女へと継承される。力の授受を行なう者同士が、血縁関係にある必要はなく(以下略)

    これを読む限り、魔女となる条件はあくまで器としての許容量と相性のみであって、肉体の属性には依存しないように思える。ところが
    魔女
    古来から途絶えることなく存在する、特別な力を継承した女性。
    何故か「女性性」という肉体的制約が付きまとうかのような不自然さが存在するのである。これが設定上だけの問題ならまだしも、ゲーム中でまるで男にしか見えないアデルという魔女を登場させていることを深読みするならば、女性性であるというのはその矛盾が示すとおり、必須要素ではないと考えたほうが自然であろう。
    では、何故「女性性」なのか。これは「器」から読んでいけば良いのではないかと思われる。

    夫たるものよ。あなたがたも同じように、女は自分より弱き器であることを認めて、知識に従って妻と共に住み、命の恵みと共々に受け継ぐものとして尊びなさい。それは、あなたがたの祈りが妨げられないためである。

    「弱き器」の意味的解釈は分かれるとしても、この「弱き器」は間違いなく「女性」のことを指している。更にこのVesselは器の他に「船」という意味も有している。
    ゲームとしての必要はないのにミノタウロスのダンジョンが迷宮であったように、魔女の器が女性性であることもまた見立てであろうと思われる。

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