莫迦っぽく/二人称 お題制限系

Novel

 何と言うかね。これじゃイカンと思うのだよ塔矢君。ということで聞きたまへ。

 ああッ、そんな呆れたよーなカオすんなソコ! こっちは真剣なんだマジメなんだ聞けやコラ、うがー!

 ああ、ハイハイ……って、そんな大人な態度取られても。がく。いーえいえ、ありがとうございますー、ワタクシめの話なんか聞いてくださるんですね塔矢様はー。

 いや、ってだから怒らせてどーするよオレ。うわーん御免なさい、待って置いていかないで塔矢ー! ぐすん。

 ええとな、つまりだな。オマエがマジメなのはわかってるし、なーんか結婚を前提としないとえっちもしなさそうな感じではあるけどさー、って、え? そうでもないの? うっわ、意外。なになに、オマエ意外とむっつりだったりするワケ? って殴んなくてもッ。

 なになに、セックスもコミュニケーションのひとつ……ってオマエなぁ。それ、情緒があるんだかないんだか。いや、ナイな、ぜってーナイ。つーかこんな往来で恥ずかしげもなく堂々とそんな単語出すなバカ。つーか情熱ってモンが足んないよ塔矢君?

 まぁとにかく、そういう雰囲気になったらそうなんだ、ふーん。うん、ならそういう雰囲気にさせてあげよう、うんうん。

 え。違ェよ、合コンなんかじゃねーって。うん、頭併せじゃないよ。だいいちオマエ連れてったら全部持ってかれんのわかりきってるじゃん、ンなことするオトコが居るかっての。はへ? だからー、オンナノコを。……うっわ、イヤミ。天然って時としてもンのすげー厭味だってわかってるかよセンセー?

 いや、今はンなこたどーでも良いんだった。あのなあのな。藤崎あかり、憶えてる? 憶えてない、あっそ。オマエらしいよ。ホラ、葉瀬中に来たとき、こーんなウサギ頭の女にオレの居場所尋ねたろ。そうそう、それ。あれが藤崎あかり。

 あ、そう、うん。オレの幼馴染みだよ、やっと憶い出した?

 で、ぶっちゃけどうよ? うりうり。アイツ、オトコの目から見て可愛いと思う?

 ……だろーだろーッ、イイだろ! なんつーかこう、守ってやりたい感じなのに芯が一本通ってるっつーか格好良いっつーかソコがカワイイっつーか!

 ……え。おい、違うぞ、なんか誤解してないか。だーッ、だからノロケじゃねーって! 別にオレの彼女じゃないんだから!

 ああ、でも大切なの、あかりのこと。くふふ。うん、だからさ。

 塔矢、あかりと付き合わない?

 ……なんだ、そのカオ。えーなんで、いいじゃんかよ、オマエもアイツのこと可愛いっつったじゃんかー!

 だから違うんだって。だってさ? だからオレ、オマエのことも大切なんだってばよ。

 だからあかりとオマエの子供ほしいなー、なんて。えへ?

 ……なんでソコで怒るんだよ、オイ。えー、フツー喜ぶだろ? 可愛いオンナノコ紹介してもらったらさ、オレだったら喜ぶね! 俄然感謝するね!

 いやだから、オレとあかりが付き合ってどーするのよ。オレ自分の子供なんて厭だよー、塔矢とあかりの可愛い子供がほしいよー、ねぇねぇ塔矢くーん!

 は、緒方さん? なんで? 似てる?

 ああ、あの人も自分の子供イヤだってか。あの人のはホラ、アレだろ。完璧主義者だから、結婚とか子供とか、面倒臭くてファジィなモンが嫌いなんじゃねーの?

 ってここで緒方さんの心理語ってどーするよ。うん? あー、オレは違うよ。だからさ、オレはオマエとあかりのことが大事なんだってば、だ、か、ら!

 オレはさ、キレーなキレーな子供がほしいわけ。性格はまぁ、何よりカオが! キレイな子供がイイわけよ。で、オンナノコのほうはちょっと可愛いのなんていっぱい居るけどさ、オトコでキレイなのってオマエくらいしか思い付かな……ってあああ、怒んないで塔矢さんッ。ゴメンナサイー、スイマセンー。

 や、本当だけど。

 あ、いや。うーん。だって。

 ……芦原さんから、聞いたんだよ。オマエこの前、お見合いさせられたんだって?

 ケッコー噂になってるって。マジマジ。まだ十七なのに大変だよなオマエも。

 だからさ、そんな世間様のためにオマエが好きでもないオンナと結婚とかなんてオレはぜってーイヤだからさ。それゃあ断るだろうけどよ、いつまで続ける気だよ? あっまーい! おまえ、ナめてる! ぜってー塔矢アキラっつーネームバリューをナめてる! 世間様がオマエみたいな人間放っておくはずねーだろ?

 ってオレもそーゆー連中と変わんないかもだけどさー。けどさ、それよりはあかりが良いなーって思ったワケ。アイツ、絶対オマエに合うよ。保証する。

 良いよ、怒って。殴っても良いよ。……ってそんなカオすんなよ、こっちがまるでイジメてるみてーじゃん。

 ヤなんだよ。あかりがどっかのオトコに持ってかれんのも、オマエがどっかのオンナに持ってかれんのも。ってことで。

 いーよ、バカだよどうせ。いいの!

 ……うん、そーかもな。仕方ないんだけどさ、もーちょっとは子供で居たいだけかも。

 いや、オレは良いんだ、どうでも。ただ、オマエが、


 ぷちん。


「……ってことなんだけど、どうよ?」

「……ヒカル、バカでしょ」

「ああッ、あかりまで!」

「ところでこの中途半端な切れ方は何?」

「単に電池切れ」

「やっぱりバカだ。この先が良いところなのに!」

「……聞いてもないのに何でそー思う?」

「塔矢君、わたしがオーケーすれば良いって言ってなかった?」

「え、なんでわかんの?」

「……ヒカルがバカだから」

「っはぁ?」

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