「……おめでとう」
「っはぁ?」
「ボクはキミに言ってなかった」
「ってオレにかよ?! ンなトコでまで張り合うかフツー!」
「煩瑣い! 大体どうしてキミが知ってるんだ」
「この前行ったとき市河さん張り切ってたもーん」
「……って、今日じゃないか!」
「結局行かなかったなぁオマエ」
「どうしてくれるんだ! 知ってたクセに検討なんて…!」
「……今迄忘れ果ててた。アハハ?」
「…………」
「い、今から行こ、な?」
「……もう良いよ、明日でも」
「え、でも」
「別に約束していたわけじゃないし、碁会所の人達ならわかってくれるよ。どうせボクもキミに言われるまで忘れてたしね」
「そ、そか」
「で、いつなんだ」
「は?」
「キミの誕生日」
「だから張り合うなっつーの……。今日だよ」
「……え?」
「今日。碁に出逢った日だから」
「…………」
「あ。雪」