人でなしの恋

Comic

  1. 「あなたなんか大嫌い!」
  2. 「大好きだよ、ティファ」
  3. いつも当り前のようにあの人を見付けられて。
  4. 「いつも聖女面して、自分だけは正しいですって顔で」
  5. うそ、本当は大好き。
  6. 「わたし、ヒトじゃないから」
  7. 「だからティファが傷付く必要、ないんだよ?」
  8. そう、彼女のこんなところが大嫌いだった。
  9. 「大丈夫、だよ。かわいいヒト達」
  10. 「あなたたちは必ず出逢える」
  11. 「だって、逢わせるもの」
  12. そうして、あなたはひとりなの?

Comment

 KH2を再プレイして、クラウドとティファって実は全く制作者に愛されてないんちゃうかという描かれ方で、あまりに哀れになってつい書き殴ってみたティファ救済編(これで?←つかクラウドは?)。それともあれが最大公約数的なファンの期待像なのか? 7の最後は何処行った。

 ワシにとってはエアクラとティファエアは異類婚姻譚の部類です。人外萌え。尤もKH2では余程あっちの二人のが人外で訳わからん性格でしたが。エア子様とマザコン英雄が常識ジンに見えちゃったヨ……。

 しかしKHのエア子様はどういう位置付けなんだ。エア子様とレオンさんは魔法使いでも勇者でも(多分人外でも)ないのにどうして魔法が使えるんですか。まぁあの二人なら不思議はない気もしないでもないけど。やっぱり人外なのですか。あの二人はあの世界では兄妹でもイイと思う。人外美形兄妹。でも麦茶に砂糖はやめてくださいませエアリス様。コーラにミルクは炭酸抜いてから、ね?(え?)

 今度は、あの人が世界にたったひとりじゃないと、良いな。

ということでおまけ捏造設定レオエア

 レイディアントガーデンにも夕闇は舞い降りる。沈む太陽。あかいろって暖色のはずなのにものかなしい気分にさせてくれるのは何故かしら、と石段上のへいに腰掛けてエアリスは、子供のように足を振る。長く横に伸びた影を視線で追うと、影法師がレオンの頭を蹴り飛ばしているのが見えた。

 あら、気付かれちゃった。顔を上げているレオンと視線がからむ。あかちゃんみたいなひとみ。あおにあかいろが映って、不思議な灰色を醸すレオンの眸は、いつも不思議なほどに幼い印象をエアリスに与えている。あんな子供生みたいな。と本人に言ったら厭がられそうな気はするけれど、エアリスはそんなことを思っている。

「何してる」

「夕涼み」

 断言してしまうと、もうレオンの追求はない。疑ってはいても、その先に踏み込むことはしない、この人はそれは優しさなのだろうか恐れなのだろうか、本人にも区別は付いていないに違いあるまい。わたしとおんなじだろうか、それとも全く別の? 可哀相に思って手招きした。

 隣に腰を下ろした彼と並んで沈みゆく夕日を眺めた。レオンのむこうにおおきなあかい太陽。夕日を眺めることはイコールレオンを眺めることになってしまったけれど、今更それに照れるような仲でもない。

「クラウドとティファが、ね。この街、出てったよ」

 太陽が沈みきって、闇が表情を隠し始めた頃、そんな風に切り出したエアリスに振り向いたレオンは、多少目を見張ってもいるようだった。予感はしてたくせに。この人は時々信じられないほどに素直だ。

「クラウド、セフィロスを倒すって。他の世界に行っちゃった。ティファ、クラウドを探すって。ソラが見送ってくれたみたい」

「……そうか」

「二人共、迷子にならないと良いね」

「……あんたが」

 ん? と首を傾げれば、レオンは黙ってしまった。素直だ、けれど、だからこそ彼は素直じゃない。

「……いや。あいつらがいつか帰ってきたら、俺達で出迎えてやれば良い」

「そうだね。ソラのときみたいに、いっぱいお土産話、聞かせてもらおう、ね?」

「……クラウドとティファの話を?」

「そうそう! 惚気になってると良いんだけど」

「なる……か……?」

「クラウド、奥手だから、ね」

 くすくすと笑えば、レオンは実に複雑そうな顔をしている。エアリスがクラウドを好きだと思っているからだ。それは決して間違いではないのだけれど、それだけが真実でもないと、だがエアリスがそれを誰かに話したことはない。大体が子供の時分から九年も離れていて、男女の関係も何もあったものではないとエアリスは思うのだが、レオンにはそれは通じないこともわかっている。何年だろうが何十年だろうが、この人は亡くした人を想い続けられる人だ。それだけでは、彼も決してないのかもしれないが、そこまではエアリスも知らないし、追求しようと思ったこともない。したら、本当に自分はひとりになるような気がしていたそれは、それなりに恐怖なのだろうかと、エアリスは自分を分析する。

 仕方無いと諦めることは、クラウドにはできても、レオンにはしたくないことだった。

「レオンは」

「……なんだ」

「レオンなら、ヒトに生まれてたら、……」

 突如、手を握り込まれてエアリスは驚く。レオンの手だった。革手袋に阻まれて体温は通じないはずなのに、とてもあたたかい、それはエアリスの錯覚だったろうか。

「おまえは、……ひとりじゃない」

 レオンの視線はエアリスを向いてはいない。もはや沈みきった太陽のむこうを見ている。レオンでも、エアリスでも、マレフィセントでも、手を伸ばすことのできない黎明を待ちわびている。

 生まれたときから魔女だった。それを嘆いているわけでもない、憤っているわけでもない。ただ、どうしようもなくヒトとの距離を感じるだけの話だ。

 それでも、どうしようもなく無力な自分を感じるだけの話だ。

 他の誰にもそれを言い訳にしたことはない、だからせめて、この人の前でくらい仮定の話を夢見ても良いだろう? そうしてこの人もまた、夢を見られるのだろうか、それともそれは、この人には夢ではないのだろうか。

 わたしが居たら、それであなたは良いのだろうか?

「大丈夫だよ、レオン。わたし、後悔はしてない。わたしは、ティファとは違う、わたしにしかできないこと、したし」

「……そうか」

「いつか、それがティファやクラウドの助けになれば、それが良い」

「……そうだな」

「でも、それを見届けるときに、スコールが居てくれるなら、もっと良いな?」

 そう言って、悪戯っ子のかおでレオンの顔を覗き込めば、もはや見えないはずの闇の中で、彼が呆れたように困ったように、微笑んだことが、エアリスにはわかるのだ。

「当り前だろ……」

「うん」

「俺はここに居るし」

「うん」

「クラウドもティファもここに帰ってくる」

「うん」

「だから」

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