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大統領自画像
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おーっす。オレがエスタ国の大統領、ラグナ・レウァールだ。仲良くしような!
ってことで、以上!
え、駄目? ちぇー。
んだって、なぁ。これがオレの信ずるところだしなあ。
皆が誤解なくせば、皆が仲良くなれて、そーすりゃ紛争なんかもちったぁ少なくなるかな〜って思ってんだけど。あ、そうするためにどーすりゃ良いのかって? うーん、難しいなぁ。
みんなさ、誰かを知りたいって気持ち、ねえ? 誰かにわかられたいって気持ち、ねえ?
そういう気持ちをさ、身近な人だけじゃなく、ちっとばかし広げてみるんだ。敵国の人間のこともな? どうして戦ってるんだろう、どうして自分達のこと傷付けてくるんだろうって、最初は憎しみでもいい、知りたいってちょっとでも思ったらこっちの勝ちだ。
オレさぁ、色んな国で戦ってきたからよぉ。多分色んなトコの人に恨まれてっと思うんだ。勿論この国とも戦争したぜえ。
だけどな、なんてーか……戦っててもその相手のこと、オレは憎いって思ったことねえんだよなぁ。戦いそのものは憎いと思った、戦争なんて糞食らえって思った。
だけど、それは人じゃあない。
オレな、兵士やってるとき、ドジ踏んじまって大怪我したことあんだ。そんときよぉ、ホント親身になって看護してくれた人が居てよぅ……嬉しかったよう……。
だってだって、そこってば名目上はオレの居た国ではあっても、勝手に支配されてた国なんだぜ? ティンバーの人達みてーに恨んでて当然。てーか確かに他の人には憎まれてたんだけどな、そんときも。だけど、怪我した人を看病するのは当然だって、その人はすっごく優しくしてくれたんだ。凄ェよな。
敵国も自国も兵士も民間人もない、ここに居るのはただ怪我した弱った1人の人間だけだって。莫迦な人っつって、頭はたきながら看病してくれたんだ。
そんときよぉ。オレ、ホントに自分が莫迦だったと思ったんだ。何で戦ってるのに憎しみ持てないんだ、兵士としてどっか欠陥品なんじゃないのか、ってずっと言われてたからよお。そうなのかなってちょっと悩んだりもしてたんだけど、悩んでた自分が莫迦だったって、やっとそんときわかったんだ。憎めなくて、当然だったんだ。
傷付けられても奪われても憎まれても。多分、敵味方っていう区分なんて形だけのもんで、確かに人は形がなきゃ生きらんねえ生き物なのかもしんねーけど、形なんて見方によってすっげえ変えられるもんなんだって。オレ、その人に教わったんだ。その人の生き方に、習ったんだ。
今は世界がこんなんなっちまったから、敵はモンスターだっつって、益々その形をはっきりつけられるようになっちまって、それを変えようなんて、敵を愛そうなんて、思う人も少なくなっちまってんのかもしんねーけどさ。
だけどよ、モンスターだって、必死に生きてんだぜ? この前、モルボルの幼生、見っけたんだ。そいつ、臭い息なんて全然出さねーの、寧ろすっげえ良い香りしててさ。餌なんてあげたら、もっと良い匂いさせてよぉ。それがさ、子供が虐めたら、臭い息出すようになっちまって。ああ、そういうことなんだなって思った。
家族とか恋人とか、敵国の人間やモンスターに殺された人達は、とてもじゃねーけど憎しみ捨てる気になんてなんねーかもしんねーけどさ。でも……でもさ、やっぱ。
オレもなぁ。家族、殺されたから気持ちはわかるよぅ。憎いと思ったよう。そん当時は世界中が憎かったような気もするぜぇ。
だけど、憎みたくないと思ったんだ。ホント。だってオレが殺した人たちの手も、オレを殺そうとした人たちの手も、オレを看病してくれたその人の手とおんなじ、あったかかったんだもんよぅ……。
うわ、なんか涙出てきた! えっと、何言いたかったんだっけか。
この前なあ、SeeDのコが言ってたんだよ。ほら、前にガルバディアが電波放送、再開させたことあったろ。あの時の言葉が、世界の皆さん仲良くしましょう〜だったら良かったのにって、その子言ってたんだ。ホントだよなあ。
ホントはオレも、世界中の人が仲良くなんて無理だと思ってんのかもしんねぇ。だけど、そうあってほしいと思ってんのは本当だ。心からそう思ってる。オレ、軍人上がりでよぉ、オレこそ戦うしか能の無いって奴だけど。でも戦う以外の道、ずっと戦ってきたからこそ、見付けたいって言いたい。無理じゃないって言いたい。
無理じゃないって、世界中の人が思えるようになれば、きっとそれは無理じゃなくなるんだと思う。から皆、無理じゃないって、言葉だけでも出してくれると嬉しい。
手始めに皆、オレと仲良くなってくんねぇ? オレはみんなと仲良くしたいと思ってるぜ〜え!!
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