[Back]
|
|
雨夜の月
- 雨の降る夜の月。
- あっても見えないもの。どれほど望めども窺い知ることのできぬ幻。
- 在り得ないと思っていたことが稀にある意。
エル(El)
- 白い月の雄牛神。
- セム族の男神。「人類の父」と呼ばれたフェニキアの男神。
- 聖書で「神(God)」と訳されている添え名。
- アシュラの夫。
アシュラ(Asherah)
- 古代イラン語asha(宇宙の法)に由来し、「知恵の点では神々のうち最も優れた者」を意味する、太女神のセム語名。
- 女神の木立(女陰)は「聖なる場所(Athra qaddisa。聖娼の意)」であり、アシュラは時に単に「神聖」と呼ばれ、この名称は後にヤハウェ(Yahweh)に付けられた。
- エルとの聖なる婚姻の後、シャヘルとシャレム(明けの明星と宵の明星)を産む。
イシュタル(Ishtar)
- バビロニアの「星」の意の太女神。
- 聖書には、「天后」(『エレミア書』第44章 19節)に相当するアシュトレト、 アナテ、 アシュラ、またはエステル(Esther)の名で登場する大娼婦。
- 「世界の光」、「万軍を率いる者」、「子宮を開く者」、「正義の判事」、「律法を定める者」、「女神の中の女神」、「力を与える者」、「すべての法令を立案する者」、「勝利の女神」、「罪を許す者」。
百合(Lily)
- シュメール・バビロニアの創造女神リリスの花で、本来はこの女神の生殖魔力を表すリル(lilu=ハス)。
- 三相一体の女神の処女相を表す。
- 太母の「女陰を表す花」。また性的交合という形で表現される「冥界の門」。
リリス(Lilith/Lilit)
- リリスがアダムの最初の妻ということになったのは、昔のラビたちがシュメール・バビロニアの女神ベリティリをユダヤ人の神話に吸収しようとした名残。
- アダムによって代表される遊牧民の侵略に抵抗した定住農耕部族の太母。
- 百合である冥界の門を擬人化した女神レイント。
娼婦ヤヒ(Jahi the Whore)
- 蛇のアーリマンを自ら生み、そのアーリマンと交わった太母に対し、父権制のペルシアが与えた蔑称。リリス、或いはイヴも蛇を生み、その蛇と交わったとされていた。
- 蛇と交わった後、世界初の月経を体験した、月の化身。
- 原初の庭園で人類最初の男性を誘惑し、この世に性(セックス)をもたらした。
- Yahweh(ヤハウェ、ヤーウェ。ユダヤ教、キリスト教の唯一神の名)、Jahu、Jah、Yahu、Iau、Jaho等の神々の名の女性形。
経血(Menstrual Blood)
- 月の血。
- アラーは流れる血から人間を作った。
- アダムの物語は粘土と月の血から男性を作ったと語る太古の創造神話を元に作られ、その女性形であるアダマ(Adamah)は血の粘土を意味する。
- オーディンは経血の魔力を盗み、盲目にされた。つまり去勢された。
イオカステ(Iocaste)
- 月の女神の称号。輝ける月。
- 前夫が体現していた男神を改めて体現している生殖力旺盛な若い夫を定期的に需要し、領土の肥沃を生み出す。
- 神の母であり神の処女花嫁。
聖婚(Hieros Gamos/Klytaimnestra)
- 女神である母王との婚儀。
- 母神を身篭らせ、王は我が身を儲け、再生を果たす。自らの古い肉体は、生贄として女神に捧げられたもの。
- 聖王が生贄として死に、女神の無原罪の御宿りによって自らを新たに懐妊させる儀式。
オイディプス(Oidipus)
- 聖王の王位継承制度に則り、先王ライナスに供犠の死をもたらす。
- 寡婦となったイオカステと結婚し、ライナスとして再生。
- 人間に体現された男神。
ライナス(Laios)
- 去勢されて生贄とされる救世主=神。
- 「王」を意味する添え名。
- 御身の母親の夫。
王位・王権(Kingship)
- 父権制の台頭する以前の諸文明の多くが、産める性である女性を崇める母権社会。
- 王位を得ることは、その世界で女神を体現している女王と結婚することに等しい。
- 先王はほぼ例外なく次代の王に殺され、若き王は聖王の息子と呼ばれる。
英雄(Heros)
- 「生け贄として女神ヘラ(Hera)に捧げられた男性」の意。
- ギリシアの五月祭はヘロアンティア(Heroanthia)と呼ばれ、「英雄が花開く」という意味である。花は赤ないし紫で示され、豊穣をもたらす英雄の血を意味する。
- 殉教者=女神の花婿。
夫(Husband)
- 家(Hus)に繋がれた者。
- 余所者。稀人。異邦人。
- 「私はあなたが持っている妻としての権利の前に頭を下げます。今日からは、あなたの要求に対して、決して一言たりとも反対しません。」
マレビト・訪れびと・稀人(Alien)
- 他界、常世から来訪する神の権化。
- 漂流の民。芸能の民。非人。公界人。不浄の者。清めの者。遊女。白拍子。三昧聖。
異性装・女装・異装(Transvestism)
- 女の占有財産である宗教と魔術の知識に与ろうと男達が取った手段。
- 女性になり、夫を迎え、同性愛の妻として生きるシャーマン(巫女)。
母の知恵(Me)
- 運命の銘板に収められた、太女神によって初子に与えられる、「母/知恵」を意味するバビロニアの言葉。
- メデイア(Medeia)、メドゥサ(Medusa)等の語源。
売春(Prostitution)
- 巫女である神聖娼婦が、男達に女神の恩恵と知識を分け与える行為。
- 父権制が侵攻してきたのちも長く女王(女神)と同等に尊敬を受け、時にその慈悲深い行為によって売春婦は本当に女王となった。
メドゥサ(Medusa)
- 「女性の知恵」の意。
- 出産が存在する以前に生んだ万神の母。
- メドゥサは未来であり、未来は常にヴェールを被るものであるため、「わたしを覆うヴェールを持ち上げられた人間はいなかった」とメドゥサは言っている。
- 今居まし、昔居まし、やがて来るべき者。その顔を直視することは死を意味した。
パシパエ(Pasiphae)
- 「万物のために輝く女性」の意。
- 擬人化されて女王となったクレタ島の月女神。
- 聖なる雄牛と交わって、ミノタウロス(Minotauros)を生む。
ミノス(Minos)
- 「月の生物」の意。
- 生け贄に供された雄牛神で、ミノタウロス、すなわち「月の雄牛」として周期的に再生した。
ケツァルコアトル(Quetzalcoatl)
- 創造と破壊、二つの顔を持つアステカ族の救世主(=神)で、羽毛のある蛇。
- 「洪水」の後で、人類を再び創造するために、ペニスから流れる血を与えて、「去勢された父神達(生贄)」の一人となった。
蛇(Serpent)
- 古代、他の生物のように年をとって死ぬことなく、脱皮して永遠に生き続けると信じられていた。
- 再生した死者の象徴。生贄とされる英雄の象徴。
- 世界蛇。
|