「オメー、あれ以来ずっと蔵馬に髪切ってもらってんのかよ」
「仕方ねえだろ。人間に切らせるわけにゃいかなくなっちまって」
「はぁ?」
「ほら、蔵馬も髪動かせてたじゃん。魔族ンなっちまってからはオレもあれと同じ状態でさァ。それだけなら問題じゃねぇんだけどな、切ると勝手に動くんだわ、これが」
「……げ」
「しかもオレ様のゆーうしゅーうな頭脳もなくなっちまってて、ホーント下等妖怪そのまんまって感じで襲い掛かるから、これがもう」
「……オメーに似て低俗な妖怪が髪の毛から生まれるっつーことだな」
「るせー。んでまぁ、飛影とかに切ってもらっても大丈夫っちゃ大丈夫なんだろうけどよ……」
「…………」
「…………」
「……。蔵馬にしとけ」
「そう思うだろ」
「あ、もしかして蔵馬が髪伸ばしてんのも、ヒトに切らせらんないせいか?」
「や。あれは単に武器を山程隠すのに便利だから」
「…………」