氷女、所謂雪女と呼ばれる妖怪は、姑獲鳥(うぶめ。乳母鳥。産女。コカクチョウと読ませる場合は別の妖怪)の奇譚と形態が似通っており、良く同一視される。「子供を抱かせた相手が、様々な障害にもかかわらずそのまま子供を抱き続けていられたら、人並み外れた能力を与える」という、勇者作成物語のような形態だ。共に山姥の姿で出ることもある。
試練に耐えた者に能力を授ける。これは山の神、地母神神話の一形態であろう。
さて、ここで、では地母神としての相を敢えて外して浮き上がってくる姑獲鳥と雪女の相違。これが問題なのである。
姑獲鳥は、産褥で死した女の霊が化けた妖怪と言われる。その子供は、石のように重く、氷のように冷たい。氷女が男の子供を産むことができないという設定はここから来たのではないかと思われる。
一方雪女は、実は自身の子供を産む話も少なくない。雪女はよく、殺さなかった人間の許に妻として現れる。そうして子まで成す。この場合の子供は選ばれし者への瀬踏みには使用されない。
これは何を意味するのか。
桑雪で抜け道があるとしたら、ここだ。